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外資コンサルとはどういう仕事か【山口周】

30年後の社会を支える「エリート」に不可欠な資質とは何か?その問いを、各界をリードする方々にぶつけていく「就プロ」のオリジナル連載。今回お話を伺ったのは電通・BCGなどを経て、組織・人材を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループにて、シニアクライアントパートナーを務めている山口周(やまぐち・しゅう)氏。山口氏は、著作ではアート・イノベーション・組織・キャリア論を語るなど、幅広い見識の持ち主。そんな山口氏が語る、これからの社会に求められるリーダーの資質とは?

2018.03.09.Fri

就活生の上位5%に当たる「就プロ」読者は、現在20代前半。2050年には、まさにリーダーとして組織で活躍している人材も少なくないでしょう。

 

30年後の社会を支える「エリート」に不可欠な資質とは何か?その問いを、各界をリードする方々にぶつけていく「就プロ」のオリジナル連載。

 

今回お話を伺ったのは電通・BCGなどを経て、組織・人材を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループにて、シニアクライアントパートナーを務めている山口周(やまぐち・しゅう)氏。

 

山口氏は、著作ではアート・イノベーション・組織・キャリア論を語るなど、幅広い見識の持ち主。そんな山口氏が語る、これからの社会に求められるリーダーの資質とは?

コンサルティングは「サイエンス」の仕事

―山口さんは人材育成コンサルティングファームでシニアパートナーを務められ、それ以前には大手広告代理店や外資系の経営コンサルティングファームにも在籍されていました。

コンサルティングファームでは、どのような人材が求められているのでしょうか。

山口:コンサルタントは基本的にクライアントから課題を与えられます。いわばミッションオリエンテッドな業務で、与えられた課題を早く解けば解くほど高く評価されます。その意味では受験勉強に近く、試験が得意な人に向いている仕事と言えます。

コンサルティングの基本はサイエンスです。定められたフォーマットに従い、提案を数字化してクライアントに示す能力が必要で、フィギュアスケートで言うなら規定演技。近年は自由演技の領域も広がってきているとはいえ、基本は変わっていません。

クライアントが設定した経営課題に対して、解決の道筋をすばやく明確に提示することが求められます。このような外資系戦略コンサルティングファームが求める人材像は、これからもあまり変わることはないでしょう。

ただ「コンサルタントになるのだから、そのために必要な問題解決力だけ鍛えておけばいい」のかというと、必ずしもそうは言えません。

というのもコンサルティングファームは、定年までそこに勤めるということはまずない職場だからです。入社した人のうち、最後まで残るのは100人に1人で、残りは全て辞めていきます。

「華やか」「カッコいい」のイメージだけでは続けられないコンサル

―なぜせっかく入ったコンサルティングファームを辞めてしまうのでしょうか。

山口:これからコンサルティングファームに入る若い方は、「おれは途中で辞めたりしない。必ず生き残ってパートナーになってやる」と思っているかもしれませんね。

それでも何年かすると辞めてしまうのは、モチベーションの問題が大きいと思います。

ぼくの場合も、最初にコンサルティングファームに入ったときには、経費は使い放題だし年収は数千万円もあって、「これはやめられない」と思ったものでした。ただうれしかったのは最初だけで、経費の枠が大きいとか年収が多いといったことは、ある程度以上になるとどうでもよくなってくるんです。

コンサルタントの仕事は「体を壊す。家庭を壊す。心を壊す」というほどで、どこも壊さずに足抜けできる人はラッキーというぐらいの激務です。

ぼくと同世代でコンサルティングファームに残った人たちは、未だに徹夜徹夜で仕事をしているんですよ。結局、いくら待遇がよくても、何か強いモチベーションがなければ、体を壊すようなハードワークは続けられないんです。

―若い人がコンサルタントをめざす理由は、どこにあるとお考えですか。

山口:ぼく自身は広告代理店から戦略コンサルティングファームに移ったわけですが、それはコンサルタントの華やかなイメージに憧れたからです。若い頃には、六本木ヒルズで働いたり、毎晩のように美女とシャンパンを開けたり、フェラーリに乗ったりすることに憧れるものですよね。

もちろん人はさまざまで、岐阜県の石徹白(いとしろ)という集落で小水力発電を行い、エネルギーの地産地消に取り組んでいる平野彰秀さんという方は、「問題解決の手法を学びたい」という理由で外資系コンサルティングファームに入社したそうです。そういう人はシャンパンやフェラーリには最初から興味がなかったでしょう。

ボストン・コンサルティンググループのシニアパートナーの森健太郎さんは、ぼくの大好きなコンサルタントです。ぼくは失礼にもその森さんに、「なんで辞めないんですか?」と訊いたことがあります。

森さんは「ずっと数学をやってきて、人から問題を与えられて、それを解くのが楽しいから」とおっしゃっていました。そういう人であれば、ずっとコンサルを続けていけばいいわけです。

といっても生半可な問題解決能力では生き残ることはできません。森さんほどの能力がある人だからこそ言える言葉です。

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自分自身の価値基準を持つという生き方

―モチベーションを失ってしまったコンサルタントは、どうすべきなのでしょうか。

山口:事実から目を背けず、「そうか、自分はもう飽きてしまったんだ」と気づくことが大事です。

ぼくの場合、憧れのコンサルタント生活を半年ほどかじってみて、「思っていたほど楽しくないな」と感じている自分に気がつきました。

確かにきれいなおねえさんとシャンパンを開ければ、その瞬間はテンションが上がるのですが、それだけでは永くは保ちません。車にしても「自分はフェラーリよりも、古くて小さな自動車をメンテナンスしながら乗るほうが好きなのだ」と気がつきました。

結局ぼくにとってコンサルタントへの憧れは「みんなが『かっこいい』と憧れるような生活をしてみたい」という、いわば外在的な物差しから来たものだったのです。

外在的物差しの一つに、「自分が競っている相手に負けたくない」ということがあります。「あいつがベンツならこっちはベントレーだ」と張り合う気持ちです。が、それも実は自分の内面から出てきたものではなく、外からやってきた価値基準と言えます。

反対に「古くて小さな車がいい」というのは自分の内面から来た欲求です。それは自分だけの好みですから、他の人から見て格好いいというわけではありません。実際、女の子に「この車、動くんですか」と言われたこともあります。

そうするとまた外在的な物差しのほうへ揺れてしまったりするわけですが(笑)、それは冗談として、自分自身の価値基準を、外から与えられたものではなく自分自身のものとして内製化できるようになると、次第に生き方がぶれなくなっていきます。そうなれば別に高い報酬も必要ありません。

それでもコンサルタントはチャレンジする価値のあるキャリア

山口:多くの人がコンサルタントに惹かれる理由は華やかなイメージにあるのでしょうし、学生のみなさんが華やかな生活にあこがれてコンサルタントをめざすのは、決して悪いことではありません。

そこでのチャレンジはきっと本人の生涯の宝になると思います。その意味では新卒でも、あるいはどこか事業会社に行ってからでも、キャリアのどこかで経験しておくとよい職場だと思います。

たとえしばらくして最初のモチベーションを維持できなくなったとしても、実際そうなったときに「何か違う」「このままでは永くは走れない」と気づき、「では自分を駆動してくれるものは何なのだろうか」とゆっくり考えればいいのです。

そうした現実を踏まえてアドバイスするなら、コンサルタントをめざすのであれば、それ自体を目的とするのではなく、コンサルタントとして何をし、そこで何を得るのかをしっかりイメージしておくことでしょう。

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前回:最短で最適解を出す「頭のよさ」はもう要らない デザイン力の真価【川上浩司・後編】
次回:「課題設定力」がイノベーションを起こす【山口周】

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