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2050年、ビジネスリーダーに必須の資質とは?【経営コンサル・小宮一慶】

これからの時代の「エリート」に求められる究極の資質は何か? 今後30年、どんな変化にも耐えうる生きる力を、各界をリードする人物にインタビューする「就プロ」オリジナル企画。今回は、人気経営コンサルタントの小宮さんにお話を伺いました。小宮さんが語る、エリートの資質、皆さん必見です!

2018.02.02.Fri

就活生の上位5%に当たる「就プロ」読者は、現在20代前半。2050年には、まさにリーダーとして組織で活躍している人材も少なくないでしょう。

 

30年後の社会を支える「エリート」に不可欠な資質とは何か?

 

その問いを、各界をリードする方々にぶつけていく「就プロ」のオリジナル連載が今回からスタートします。初回は人気経営コンサルタントとして知られる小宮一慶(こみや・かずよし)さんです。

 

現在も十数社の非常勤取締役や監査役、顧問を務め、長年にわたり組織のリーダーにアドバイスしてきた小宮さんに、ビジネスの世界で生き抜くエリートの条件を聞きました。

普遍的な2つの資質

—今の20代が30年後、リーダーとして求められるものは何でしょうか? 2010年代のリーダーに求められるものと決定的に何が違いますか?

小宮一慶さん(以下、小宮):基本的には同じだと思いますよ。AI(人工知能)の進化で、僕の感覚で言えば、第4次産業革命が起こりつつあるわけだけど、世の中がいくら変わっても、ビジネスパーソンに必要な資質は基本的に2つだと思っています。

それは「思考力」と「実行力」。

—その2つは時代が変化しても不可欠、と。

小宮:そう。ただ、今は放っておくと思考力がすごく落ちる社会です。たとえばね、テレビで野球の日本シリーズを見ていたときに、ディー・エヌ・エーのロゴが大きく映し出されたんだけど、「D」の横に「:」が付いていたから、「なぜかな?」と思ったんです。

僕は濁点の意味かな、と考えたんだけれど、その場にいた若い人がGoogleで検索してすぐさま、笑顔を表す絵文字になっているんだ、って教えてくれました。もちろん、それが正解。でも、そこには想像や思考のプロセスがないでしょ?

―ないですね。私もついつい何でもすぐ検索してしまいます…。

小宮:つまり、今は「スッキリ社会」なんです。わからないことがあれば、すぐ検索して、すぐ解決。

僕は現在7社の社外役員と、5社の顧問をしながら、自分の会社も経営していますが、役員会で話し合われる内容って、Googleで検索しても答えが出てこないですよ。ある部門を売却するかどうか、とか、人を増強するかどうか、とか、そんなことはGoogleに聞いても正解は見つからないですから。

―「スッキリ社会」であるがゆえに「考える」価値が上がっている、と。やはり、普段から考えることを意識しておいた方がいいってことですね。

小宮:とにかくエリートになろうと思う人は、ものを考える力がないとダメ。さらに、日常生活が単純化している一方で、世の中自体は複雑化している、ってことを十分に理解しておかないといけないでしょう。

多くの仕事は簡単にできるようになるけれど、そのシステムや機材をゼロから考えて作り出す人はいるわけだから。それに、これからの社会では、AIを使いこなす技術が必要になる。やはりここでも「どう使うか」を考える力が不可欠です。

「人の幸せ」と折り合いをつける力

―生活が単純化して考える力が削がれていくけれど、逆に考える力は今以上に求められるわけですね。

小宮:やっぱり、いくらAIやロボットが進化しても、人自体はなくならないわけ。たとえばリーダーは、部下を引っ張っていくために、2つの覚悟が必要だと思っています。1つは先頭に立つ覚悟。それともう1つは責任を取る覚悟。これはいくらAIやロボットが発達したって、変わりようがありません。

—「変わらない部分」が大事だ、と。

小宮:あとね、もう1つ難しい問題として、人の幸せとの折り合いをどうつけるのか、っていうのがあるんです。たとえば僕が社外役員をしている自動車部品のメーカーの、アメリカの現地法人が今年で30周年を迎えたんです。

そこで雇っている人は、25年前も、今も、800人で変わらないんだけど、生産性は1.3倍に増えているんですよ。なぜかというと無人ラインが動いているから。

この状況は、一人当たりの生産性が上がることで給料も増えているから、ハッピーなわけです。理論的にはもっと多くのラインを自動化できるんですが、あえてそれをやらないのは、その街で2番目に多い雇用を生み出している企業だから。

親子2代にわたって働いてくれている社員もいるし、「雇用を切る」ということ自体はいいことじゃない。そういう、理論や効率だけでは判断できないことに、この先もリーダーは直面し続けます。

スキルで人は動かない

―人の幸せと折り合いをつけるスキルは、どうすれば身につきますか?

小宮:いや、スキルじゃないです。「リーダーシップ=スキル」と思っている人がいるんだけど、そんなのスキルじゃありません。

だって本を読んだり、学校で教えてもらったりして覚えられるなら、誰だって身につけられるわけでしょ。貸借対照表の見方や会社法の知識は、組織を動かすリーダーには必要なスキルです。逆を言えば、それらはスキル以外の何物でもない。

でも人間に関わることは違う。スキルで人が動くとかありえない話です。

「人の幸せと折り合いをつける」とは、要は、しっかりとした人間観を持つことです。どういうときに人は喜んで、どういう時に悲しむのかがわかるかどうか。

生身の人間と付き合うって、そんな単純じゃないでしょ。

この連載は30年後の2050年を想定しているけれど、50年たっても、100年たっても、上司と部下が人間同士ということに変わらない。だからこそ、人に触れて、人間観がわからないとリーダーは務まらないですよね。

—つまり「人の気持ちがわかる」ということ?

小宮:僕はね、社員を採用する時のポイントの1つとして、人に喜んでもらうことをうれしいと思う人かどうか、を見るように経営者に勧めています。

お客さんに喜んでもらう。働く仲間に喜んでもらう。そういうことに関心のない人は、ビジネスには向きません。だって、ビジネスは団体戦だから。自分一人が楽しければいい、なんて人は向かないんですよ。

―「人の気持ちがわかる」は、思考力の1つなんでしょうか?

小宮:いや、人の気持ちがわかるかどうかは感情の問題ですね。感情と思考は分けて考えなければいけないですね。思考力とは、論理的にモノを組み立てて考えられる力だから。頭は悪いよりいい方が便利ですが、感情の問題とは直接は関係ないです。

僕は京都大学の出身者だけれど、同窓で「おかしい」と思う人を何人も知っています。コンピュータ並みに頭がよくても、人間として付き合いたくないな、っていう人っているじゃないですか。

つまり、思考は十分あっても感情が足りてない。エリートとして社会の中で人の幸せと折り合いをつけていくには、思考と感情、両方の力が必要です。

「稼ぐこと」と「エリート」の関係は?

—究極的に、小宮さんが考える「エリート」とはどういう存在ですか?

小宮:やはり社会の模範になる人じゃないですか。金持ちか、金持ちじゃないか、というのは別として、人として尊敬される人。ビジネスリーダーもエリートの1つではあるけれど、デイトレーダーで1000億を儲けたら、それだってある意味、たくさん税金払ってくれるわけだからエリートかもしれない。

僕自身は、デイトレーダーを否定しているわけではなくて、自分に向いたことをやればいいと考えているだけなんです。だから人に喜んでもらったり、人を動かしたりすることが苦手な、リーダーに向かない人がわざわざビジネスリーダーになる必要はないし、そのふりをしている必要もないと思いますよ。

—ビジネスリーダー以外の道で、社会に何かを還元する方法もあるわけですね。

 

次回は、引き続き小宮さんに、思考力と並んでエリートに不可欠な「実行力」について聞いていきます。

次回:「こぢんまり生きる」という選択肢はない。未来を生きるエリートへの提言(2/9公開予定)

(吉岡名保恵)

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