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若手時代に気をつけるべき2つのポイント。リクルートとJTの経営者が語るキャリア設計とは

2017年2月18日、「大企業経営者から君たちへ、渡したいバトンがある」と銘打ったイベントが開催された。当イベントでは、30代で大企業経営者の座に上り詰めた、JT執行役員の筒井岳彦氏、リクルートホールディングス執行役員の山口文洋氏より、就活生に向けてメッセージを頂いた。二人のキャリア、若手時代の下積み、そして「意志」の作り方など、社会人への第一歩を踏み出そうとしている就職活動生の皆様には、是非読んで頂きたいトピックが満載だ。 是非多くの就活生の皆様に、読み進めて頂きたい。

2017.03.27.Mon

2017年2月18日、「大企業経営者から君たちへ、渡したいバトンがある」と銘打ったイベントが開催された。

 

当イベントでは、30代で大企業経営者の座に上り詰めた、JT執行役員の筒井岳彦氏、リクルートホールディングス執行役員の山口文洋氏より、就活生に向けてメッセージを頂いた。

 

二人のキャリア、若手時代の下積み、そして「意志」の作り方など、社会人への第一歩を踏み出そうとしている就職活動生の皆様には、是非読んで頂きたいトピックが満載だ。 是非多くの就活生の皆様に、読み進めて頂きたい。

30代で大企業経営者に。二人の「下積み」とは

—お二方、本日はよろしくお願いします。

 お二人とも30代にして、日本を代表する企業の役員、経営者というポジションで活躍されています。お集まり頂いた就活生の皆さんも、どんなキャリアを送ってきたらそんな風になれるんだと、興味津々なのではないかと思います。

 まずは、お二人が若手時代にどういう経験をしてきたのか、どういうキャリアを積んできたのか、お話を頂きたいと思います。では筒井さんより、お願い致します。

筒井:私も皆さんのように就職活動をした時代が有りまして。私は大学では機械工学を学んでいました。しかし就職するときは、何か違うことをやってみようと思い、1997年、JTに入社しました。

JTは当時「新規事業をやる人募集」という看板がかかっていて、「これは面白そうだな」と思って入社をしました。人事の方もその当時「そうだね。筒井くんは新規事業がいいよ」なんて言うわけです。

ところが、理系出身というところもあってか、実際に配属されたのは小田原のたばこ工場でした。 これで結構がっかりしたと言いますか、「あれ、入社前に言っていたことと違うじゃないか」という思いで社会人生活をスタートしたというのが最初のターニングポイントでした。

当時は「なんか間違えちゃったな、就職」なんて思っていたんです。

しかし、振り返って見ると、この工場にいた4年間というのは、実は自分にとって本当に大事な時期だったと思っています。

最初は落ち込みました。3ヶ月くらいは工場の人ともあまり喋らず、一人、寮に帰って。小田原には、早川漁港という港がありまして、その漁港で体育座りして、「俺はここで何をしているんだ」と考えた時期がありました。

もともと新規事業がやりたいという輝かしい自分の未来像があったんですけど、最初の配属では叶いませんでした。自分が一回、方向を見失ったわけですね。

でも、がっかりしていてもしょうがないので、前に進もうと決めました。方向を見失いながらも、前に進むには何をすれば良いのかということを考えて。一度自分の足元をじっと見つめようと思いました。

工場という場所で自分がどんな貢献ができるんだろうと考えたのですが、全く想像もできなかったので、とにかく目の前のできることをやって貢献していこうと。

地道な仕事だったかもしれませんが、誰にも負けない雑巾がけをしようと。誰にも負けないピッカピカの机を何個も何個も作ろうと。そういう努力をした「下積み」の時期だったのかなと思います。 私のキャリアの中では、この4年間がなければ、今の自分はなかったんじゃないかなと非常によく思います。

—ありがとうございます。華々しいキャリアを歩まれているというイメージがありましたが、4年間の「下積み」の時期があったのですね。筒井さんはその4年間を経て、M&Aのプロジェクトに抜擢されていますよね。

 下積みの時期に、どういうことを意識していたのか、具体的にどんな努力をしていたのか、その結果、それがどう役に立ったのか。そういった点を、具体例を交えながらお伺いしても宜しいでしょうか。

筒井:意識で言うと、今思い浮かんだのが、豊臣秀吉が織田信長の草履を懐で温める話です。

これは「下積み」で重要なことを非常によく表していて、「その時、自分の役割として何ができるのか」が重要だと考えています。どうすれば相手が「お前なかなか気がつくな」と感じてくれるのか。

山口さんとも以前お話していたのですが、期待を上回る所まで頑張るということが大事。逆に言うと、それさえ出来ていればどんなことに取り組んでも役に立ちます。

例えば、私の具体例で言うと、Excel。

入社初期によくExcelを扱っていたのですが、最初は単純な表を作れるとか、入力が出来る、程度でした。また、同じ動作を3回も4回もやるんですよね。じゃあもっと工夫して、簡単にできるんじゃないかなと。

それで数式やらマクロやらを覚え、こんな便利なものがあるんだなあと。そこから、もっと便利にするにはどうしようと考えて、ビジュアルベーシックという、簡単なプログラミングのようなものを学びました。

すると、周りにはなかなかそこまで出来る人がいなかったこともあり、ひょんなことから「筒井がなんか凄いらしいぞ」と。

そうして、様々な方から、「とある分析をしたいんだけど、どうすれば良いのか」とか「こういう問題があるんだけど、なんとかできないか」とか、全然自分の業務に関係ないところで、手伝って欲しいと言われるんです。

そして、手伝うと「ありがとう」という言葉が返ってきて、私の方も代わりに「すいません、わからないことがあるんですけど、助けてくれませんか」、「こういうことをやりたいと思っているんです、どうやったら実現できるんでしょうか」なんてことを反対に相談したり。

はっきり言えば、何でも屋でした。細かいことでもいいから期待値を超える所までやる。やりこんだ暁には、どこかでそれが役に立つ。

誰かの役に立つと、信頼という貯金ができる。その信頼の貯金があると、それを払い出して、自分がやりたいことに手を貸してもらえる。こういうことの、ひたすら繰り返しなんです。

例えば、最近のコピー機なんかも、いっぱい機能がついていて。でも、大体の機能は使いこなしてないんです。それを全部使い切ると業務の効率がすごく上がるかもしれません。

皆なぜそこまで努力しないのかというと、それがくだらないことだと思っているからではないでしょうか。でも、自分はそれでも、「やるからには誰よりもコピー取りを上手くなろう、やるからには誰よりもExcelを使いこなそう」なんて思って、それが上手になってくると、人に頼られて、人に頼って。頼り頼られるから信頼関係が出来て。

そういうことじゃないかと私は思います。 私は結局、4年間そういうことを続けました。それが、元々やりたかったことかというと、そういうわけではありません。でも、とにかくやってみることに一生懸命だった時期だったと思います。

足元を見て、どういう貢献が出来るかを考えて、期待を上回る所まで頑張る。そういった、非常にシンプルなことを繰り返したことが大事だったなと思っています。 今は自分が会社の経営陣の1人になっていて、下積み時代から振り返ってみると、随分遠い所まで来たんだなあ、と思いますけれど。

今この場所から考えてみると、結局そういったことの繰り返しが大事だったなと、最初の4年間で学んだことが非常に重要だったなと、そう思うのです。

うちの会社でも、若手と話をすると、自分のキャリアについて焦っている方がいます。 「2年間営業やったけれども、先が見えないんです、今後のキャリアについて悩んでいるんです。地道に努力しているんですが、結果が見えないんです。」という具合に。

「まだまだたった2年だよ、焦ることないんだよ」と思うのですが、やはり若い頃は、キラキラしたものがカッコよく見えるんですよね。私も当時、大いに焦りがありました。他のものが、キラキラして、カッコよく見えていました。

結局、工場には4年間在籍した訳なのですが、4年というのは同期の中でも長い方でした。「みんな本社に転勤していくんだな」「いつまで工場にいるのかな」「人事の人は、僕のことを忘れちゃったのかな」など、いろいろな不安がありました。

それでも、「下積み」をきちんとやり続けた結果、今の私があります。若い人には、焦ることなく正しい「下積み」をきちんとして欲しい。最初からキラキラした仕事が出来なくても、それは将来に必ず繋がるんだと。

特に、大企業に就職しようと思っている方は、そういう悩みに突き当たることがあるかもしれません。ベンチャー企業と比べると「新規事業」のような、キラキラした仕事に接するのは遅いかもしれません。

でも、それはきちんと「下積み」をする為なんだと、将来大きなことを成し遂げる為に、大きな土台を作る為なんだと、それを理解して、焦らずに努力をし続けて欲しいと思います。

—筒井さん、ありがとうございました。では山口さんにも、若手時代の経験やキャリアの歩み方について、お話を頂きたいと思います。

山口: 自己紹介も兼ねて簡単に説明をさせて頂くと、私のファーストキャリアは、大学卒業後2年間のモラトリアム期間を経て、名も無きシステム会社から始まりました。

会計システム、人事システムを日本で作って、東南アジアに出ていって、現地の企業に売ろうという会社でした。

すごく夢を感じたんですよね。当時の私には会計のバックグラウンドがあったのと、世界への憧れがあって、これはもうその会社に行くしか無いと感じました。

しかし入社したのは良いものの、本当に何もスキルがないので、まさに丁稚奉公でした。WordもExcelも全くできなかったので、「3ヶ月何もできなかったらお前はクビだ」と言われて。

その瞬間に、自分には本当に実力も何も無いし、慶應大学を出ているという肩書きだって、何も意味がないんだと気付きました。だから、本当に地道にやるしか無いのだなと気付いたのです。

システム会社では、システムをリリースする時にいろいろテストをするんです。リリース直前ではバグが無いかどうか、毎日深夜遅くまで寝る間もないくらいにテストをしていました。

その頃の仕事は正直に言って、辛かったです。それでも私が思ったのは、社員として雇って貰っているのだから、期待されている以上の結果を出さないと本当にクビになってしまうんだと。 私にあたえられている仕事は、新規事業やりたい、経営企画やりたい、なんて選べるような仕事じゃなくて。

ひたすらテストをするだけなんて馬鹿にされているかもしれないけど、最高のテスターになろうと。ここは筒井さんとも本当に話が合う所なのですが、まずは足元の所をきちんとやろうよと。

そんな風に考えていたのが、私のファーストキャリアでの下積み時代です。 そんな中で、仕事に対する吸収も速かったのが幸いしました。誰よりもバグを見つけることができましたし、会計のバックグラウンドもあったので、システムが会計のルールに合ってない仕様じゃないか、という提案をしたり。

そういうことを重ねていく中で、「こいつ頑張っているから、こいつの提案は面白いから、じゃあ次はこの仕事をやらせてみよう。」そんな形でステップアップを積み重ねることができました。

その3年間でテスターという仕事から、段々上流の工程にステップアップして、新規事業を考えるような仕事、筒井さんの言葉を借りれば「キラキラした」仕事にもつくことができました。

筒井さんがおっしゃられたように、まずは足元を見て、何が出来るかを考える。そして、期待を上回るまで努力する。そういった「良い下積み」のサイクルに上手く乗ることが出来ていたんですね。

早い段階で「自分は何の実力も無いんだ」「地道に結果を出すしか無いんだ」と気付くことが出来たのが幸いしたのだと思います。

—ありがとうございます。「目の前のことに全力で取り組み、期待を超える」というプロセスは、筒井さんと共通される部分ですね。 その後山口さんはリクルートに転職されると思うのですが、そこではどういった学びを得たのでしょうか。

山口:リクルート時代での学びは、大企業で下積みをしたからこそ学べること、という面についてお話をしたいと思います。

少し話が飛ぶんですが、私は、20代からスタートアップ企業で結果を残されている方をすごく尊敬しているんです。本当に凄いなと思って。

何が言いたいかと言うと、企業やサービスを大きくしていく為には、本当に色々なことが想像できなくてはならないんですね。

ゼロからの一歩目、まさに立ち上げている瞬間というのは事業、組織を生々しく感じられるので、想像力が低くても、自分の手の中で大きくしていくことができるかもしれません。しかし、そのあと二歩目、三歩目、そして十歩目までを考えると、凄く難しい。

規模が500億、1000億まで成長して、アーリーアダプターだけではなく、レイトマジョリティーと言われる様なユーザーにまで使われるサービスになる。そこまで成長するのに、どういう道筋を辿ればそうなるのか、その途方もない道のりを暗中模索の中でやってきたのが、若いうちからスタートアップで結果を残されている方なんです。

一方で、私はまさに今スタディサプリという事業において、そういった道筋は何となく感じながら進むことができています。

なぜなら、私はリクルートにおいて、カーセンサーやゼクシィというサービスが社会の課題を解決し、事業としても成長してきた、その歴史や生々しい経緯というものを肌身で感じてきたからです。

だから、スタディサプリという新しい事業を考える時に、他のサービスからメタ認知的な思考が出来たわけです。

教育業界にイノベーションを起こす為には、おそらくこういうステップを踏んでいかなければならないんだな、とか。単純にサービスを良くするだけではダメで、世の中の共感を巻き込まなくてはならないんだな、じゃあどうしよう、とか。

サービスだけではなく、組織についてもそういった思考が必要です。立ち上がりの時期は0→1の人が居て、そんな人が活躍できる、こういう環境を作ろうと考える。

でも、三歩目から五歩目にかけては、組織のメンタリティー、姿勢、スタンダードといったものは、最初とは違ったものになるはずだ。トップの人格や思考も変わらなくてはならない。こんなことを考える必要があるのです。

また、社内にエンジニアが居て、マーケターが居て、ストラテジストが居て、じゃあその人達を上手くマネージして、全体として高い成果を挙げる為にはどうしたらよいか、そんなことも考える必要があります。

私はカーセンサーを、ゼクシィを、間近で見てきているので、このステップではこうしよう、あのステップではこうしよう、そんなイメージをすることができていたんです。

こういうことがきちんと想像できていれば、社会を変えるような事業、社会インフラのような事業が作れると思っています。逆に、そこがあまり分かってなければ、ちょっと事業が大きくなった段階で「この先どうするんだっけ?」となってしまったり。

リクルートやJTといった企業で「下積みをする」「基礎力を鍛える」ということの良い所は、こういう思考を、間近で見て、肌で感じて、じゃあ将来自分が何かを成し遂げる時にその道筋は想像できるよね、という所かなと思っております。

将来的に、大きな事業を作りたい、社会に良い影響を与える様な仕事がしたい、という人は、是非我々のような企業で下積みをする、というのをオススメしたいなと思っています。

—ありがとうございました。大企業、歴史の積み重なっている企業だからこそ学べることがあるという、非常に興味深いお話を頂きました。

二人を支える「意志の力」。「意志」はどこから産まれるのか。

—次のテーマに参りたいと思います。お二方の下積み時代を伺って参りましたが、その下積みを越えて経営者になるまで、その道筋はどのようなものだったのか。どのような転機、きっかけがあったのか。お伺いしていければと思います。

筒井さん、いかがでしょうか。

筒井:私の大きな転機の一つは、JTインターナショナルでの経験ですね。

JTは、虎ノ門に本社があるのですが、スイスにJTインターナショナルという会社があって、海外のたばこ事業に関しては、ここが日本・中国以外の全ての事業を統括しています。

当時、ギャラハーという会社を買収するプロジェクトに参加して、初めて、M&Aというものが成就する、それによって会社が変わるというその中心に身を置くことができました。

ここでも、とにかく一生懸命でしたね。 買収のプロジェクトの中にいて、会社を統合していく時に、想定外のことが毎日起こります。その毎日起こることをなんとか前に進めていく、一つひとつ解決していく、そして、より良い会社の姿を作り上げていく。

そんなことをやっていたら、JTインターナショナルという場で高く評価して頂き、その結果として、JTインターナショナルで部門一つを任される機会を得ました。

私が当時任された部門というのは、経営企画部門という所です。簡単に申し上げると、中期経営計画を作るなど、会社の戦略や計画を立てていく部門です。

部門を任せていただいたのが、ちょうど2008年です。2008年に何が起こったのか、ご存知の方もいらっしゃるかも知れません。

新しく部門を任されることになって、「よし頑張るぞ」と意気込んでいたら、突然、リーマン・ブラザーズという会社が倒産しました。いわゆる金融危機です。リーマンショックがドカンと始まるわけです。

100年に一度の危機だ、為替への影響、銀行が潰れる、大恐慌だ、なんて聞こえてきました。経営計画を考える部門なのに、いきなり前例が無いような大事件です。私も冗談めかして、「どうして僕の時なんだよ」なんて愚痴を言ったりしていました。

しかし、そんな状況の中でもまた地道に色々やっていくなかで、「あぁ、そうか」と思ったことが2つありました。

1つは、自分と経営が初めて一体化した実感を持てたことです。

金融危機がきた、為替がどうだ、銀行が潰れる、とか、世の中の色々な出来事が、自分の会社にどう影響を与えるんだろうと考えるわけです。そんな中で、会社としてどういう道筋を歩んでいけばいいんだろうと。

ニュースで流れる世界の動きと、会社の経営と、そして自分の思考とが、初めてリアルに結びついたんです。自分が経営というものに強い興味をもったきっかけになった経験でもあります。

もう1つは、意志が重要だということです。

会社というのはもちろん戦略が重要です。しかし、戦略を決めるためにも、意志が必要です。 周りで何が起こるのかわからない中、自分達はどこに向かいたいのか。どこにこの会社を進めたいのか。会社を進めるために、どういうリスクは取ることができて、どういうリスクは取れないのか。

リーマンショックのあと、こういうことを考え抜きました。2008年、2009年は、周りの環境に、右へ左へ色々振り回されながら。でも環境に振り回されるだけではダメだと気付いたのです。

自分の、そして会社の、進みたい方向を決めなくてはならない。合っているか、間違っているかも勿論ですが、論理的に、ロジックで詰めるだけではなくて。「どういう会社を目指すのか」。そんな意志が大切なんだと感じた時期でもありました。

—「意志」が重要、というのは非常に興味深いですね。

 「就活」という文脈で言うと、面接で「君はこの会社でどんなことをやりたいのか」ということを聞かれたり。でも、そういう「意志」を持っていなくて悩んでいる、という声もよく耳にします。

 筒井さんの「意志」の芽生えのストーリーを是非お聞かせ頂けますでしょうか。

筒井:私は、意志というのは急に産まれるものではなくて、徐々に大きくなっていくものだと考えています。ただ、若い頃から持っている意志というのは大事だなと思っています。それは小さいものでも良いのですけれど。

その意志にも色々な種類があって、例えば先ほどのExcelの例で言うと、もう少し効率化をしたい、この仕事の工数を減らしたい、もっと早くやりたい。そんな意志でも良くて。

その意志を持つことで、今のやり方では時間が掛かっちゃうな。作業の工数が減らないな。じゃあ、やり方を変えよう。という風に工夫が出来ます。

意志というのはそんなことの積み重ねだという気がしていて、意志の範囲が段々広くなっていくのだと思っています。自分の周りをより良くしていくうちに、部署をもっと良くしたい、会社をもっと良くしたい、お客様にもっと貢献したい、そういうのが段々積み重なっていくんです。

私が入社した時に「JT をこういう会社にするぞ!」という特別な想いがあったわけではなくて、自分の意志の範囲が大きくなって、今では会社の未来をもっと良くするぞという、強い意志になっていったのだと思っています。

それこそ就活の時には、面接で「これから君はJTをどうしていきたいんだ」なんて、とんでもない高さのボールを投げられる。意志は段々大きくなっていくものだと思うので、それらしいことが言えるはずもないのですが、ある種の儀式として。

ただ、それを聞いて「何だこの質問」と思うのではなくて、その質問をきっかけとして「自分はどうしていきたいんだろう」という思考を、日々の積み重ねの中に持ち込んで貰いたいなと考えています。

そういう思考を日々積み重ねることで、自分の意志を磨いていく。そしてその意志が、だんだんと大きい物になっていく。そういったことのきっかけとして貰えれば良いなと思います。

—ありがとうございました。「意志」の話が出て参りましたが、山口さんは、いかがでしょうか。現状どういう意志を持っておられるのか、どういった形で意志が産まれてきたのか。

山口: 私は学生時代、小中高、大学生も、社会人になっても、キャプテンの経験やチームリーダーになったことは殆ど無いんですよね。友達の中でも全然そういうタイプではありません。

むしろNo.2とかNo.3、縁の下の力持ちというタイプで、他に意志ある人が居て、そのフォロワーとして、どれだけ自分ができるのかを考える。

自分が先頭に立って、「絶対に、何が何でもこれをやらせてくれ!」っていう情熱とか意志とかを持ったことは無くて、「僕は皆に合わせますよ」と。そういうタイプでした。

だけどおそらく、私の人生が大きく変わりだしたのは、受験サプリ(現・スタディサプリ)というものを引き継いだ瞬間なんです。

私は若い頃、毎年新規事業コンテストに参加していました。受験サプリの前の年は、今のDeNAさんのマンガボックスのような事業を提案したり、今のメルカリさんみたいなCtoCのオークション事業を提案したり。しかし、毎年落選していました。

受験サプリを提案したのは、6度目のチャレンジです。その時だけはグランプリを獲って、事業化にまで漕ぎ着けました。それは何故かというと、強い意志があったからです。 じゃあ、何故これに意志を持てたのか、と言うことなんですけれども。

受験サプリを思いついたのは32歳の時でした。そこまで足掛け5年位、進学事業という高校生の進路意思決定の現場に関わって、高校生、先生、保護者の方、大学・専門学校の方など、本当に多くの人と出会って、教育の現場を本当に生々しく見てきて。

教育の現場に関わる人達の、「本当はこういう物があったら嬉しい」とか「私たち、こういうことが出来ていなくて悔しい、悲しい」とか、そういう想いが、私にいっぱい溜まっていたんです。それが、私が意志を持つことが出来た、1つ目の理由です。

もう1つの理由ですが、僕の在籍していた進学事業は当時、売り上げが急落していた苦しい時期でした。そこでの経験が、私を強く動かしたのです。

私は当時、進学事業の本部長直下で働いていて、色々な会議に参加していました。その中で、進学事業の未来に対して、悲観的な意見、否定的な意見を何度も繰り返し聞きました。

そういう状況を目にして、強い衝撃を受けたんです。 私はその時リクルートに来て3年、4年経っていて、事業部長などと同じ熱量、視座で事業のことを考えていたという自信がありました。

だから、事業自体への愛着もあるし、現場の皆さんと色んな交流もしていたし、「この事業はリクルートで一番価値があるんだぞ」と、そんな風に思っていたんです。

そんな思い入れのある事業の未来に対し、口々に悲観的な意見をする人たちを見て、怒りさえ感じました。 しかしその時に感じたのは、業績が悪い事業はそうなってしまうんだ、ということでした。

会社、事業というものは、サービスの理念や価値はもちろん、売上や利益という部分も絶対に必要なんです。業績が悪い事業は、悲観的な意見を言われてしまっても仕方ないんだなと。

このままでは、この大切な仲間たちと、価値ある事業を続けていくことが出来ないんじゃないかと感じたんです。だったら、この事業でなにか新規事業をやって、業績を上げなきゃいけない。そう感じたんです。

そういう想いが、僕が受験サプリを産み出した、一番ベースの部分なんです。 この2つの意志の、掛け合わせです。

教育現場の声を聞いて、何がなんでもこの状況を変えたいんだ、という想いと、自分が信じてやまないこのコミュニティをずっと存続したいという想い。この2つの掛け合わせで、本当に意志を持つことが出来たのかなと思います。

そして、その意志がプレゼンテーションに乗り移って、グランプリ、事業化という結果、またその先の事業グロースに結びついたんだと。

よくリクルートの人にも、山口文洋って別にそんな凄くないよねって言われるんですけれど。ただ、スタディサプリのプレゼン、また経営者としてのプレゼンになると、スイッチが入ったみたいに、スーパーマンみたいにいきなり迫力が出てくるねって。

それはおそらく、意志の力。その意志の原点は、周りの人の想いや自分自身の想いを、勝手に使命のように感じて担いでいる、そんな所から来ているのだと思います。

—ありがとうございました。周りの人の想い、自分自身の想いを巻き込んでいく。そんな風にして「意志」が作られてきたのですね。  

 徐々に意志が磨かれてくるという筒井さんのお話も踏まえると、お二方が違った経験をしてこられた中でも、なんだか共通点があるような気がいたします。  

 それでは、お時間も近づいて参りましたので、最後に就職活動生の皆さんへのメッセージをお願い致します。

二人の経営者からの、就活生へのメッセージ。

山口: 私からは、スティーブ・ジョブズの言葉を引用したいと思います。皆さんもご存知の方だと思いますが、歳を取るに連れて、この言葉はさらに重みが増してきます。

「人生無駄なことなんて一個もない」 色んな寄り道、回り道が今の自分を作っているというのは、本当にその通りだと思っています。

皆さんも、もし効率的な近道を進めなくても、自分の予想しなかった道を進むことになっても、これはもしかしたら運命なのかなと受け入れて、そこから這い上がって来るということを、すごくポジティブにやってほしいなと思っています。

また、「失敗を恐れてしまって、何もできない」「やりたいことじゃないから、放り出してしまう」という人もいると思うんです。そういう人は、もったいないなと思います。

僕は、メトロノームのような人生が良いと思っています。その振れ幅が大きければ大きいほど、良い人生だと思っています。失敗して、悔しいときは、たくさん悔しくていい。悲しいときは、たくさん悲しくていい。でも、そんな想いを乗り越えて何かを達成すると、本当に嬉しいんだと。

だから、皆さんにも、ぜひ果敢なチャレンジをしてほしいなと心より思っています。20代、30代ぐらいまでは、失敗をしても、やり直しが利くような年齢です。

だからこそ、「失敗をたくさんできる、そしてそこから多くのものを学べる、辛い思いもたくさんあるけど、その分大きなことを達成して、喜べる」、そんな環境を選んで欲しいと思っています。

手前味噌ですが、リクルートはそういう会社だと思っています。もしも私の話を聞いて興味を持たれた方は、是非リクルートに足を運んでみて欲しいなと思います。

私からは以上です。ありがとうございました。

筒井: 私からは、よく就活生の皆さんにお伝えしていることを最後に伝えたいと思います。

就職活動は、「縁と運と相性」だと思っています。

「縁」とは何かというと、会社というのは数えきれないほどあるので、どの会社と出会うかというのは、縁だと思うんです。

全ての会社を見られる訳じゃないし、全ての会社が自分を見てくれる訳ではない。そこには偶然もあります。私も、偶然出会わなかったけれども自分にとても合っている会社、というのは他にもたくさんあったのだろうと思います。

「運」も多少なりともあって、面接の日に風邪を引いてしまわないかとか、たまたま面接官が高校の先輩だったとか。そういう運というものもあります。

最後の「相性」というのは、何かと言うと。就職活動を通じて会える人の数は限られているという前提がありながらも、その限られた人たちと会った時に、自分はここに就職したら納得できると思えるような所、それが相性かなと思っていて。

正直な話、縁と運と相性が合えばあとは、山口さんも仰っていたように、好奇心があって、物事を洞察して、周りの人を巻き込んで、達成するまでやり抜く、それを意識していれば、どこの会社に行っても活躍できるのではないかと思います。

加えて、会社に自分をいいなと思って貰うと同時に、最後は自分で決めなきゃいけないということを覚えておいて欲しい。そして決める時は、自分の意志を満たす会社に就職する。

例えば、就職人気ランキングが高いから、初任給がちょっと高いから、そういう風に取り敢えず環境条件を選んでの就職をする人もいます。でも、会社では色んなことが起こります。入社した瞬間から。環境条件だけで判断してしまうと、そういう時に一発で心が折れます。

その時に自分を支えるのが何かと言うと、「でも自分は、自分で納得して決めたしな」という気持ちです。そう思うと、自分の状況をすぐに否定するのではなく、頑張ろう、という気持ちが芽生えるんです。

大変だなと思うのは、我々の時代とは違って、皆さんはとても多くの情報に触れるということ。僕らの時代はインターネットも無ければGoogleも無いので、送られてくるはがきで調べるのが精一杯。

皆さんは情報が溢れているので、どうしても比較すると思うし。善し悪しも、ネットに書いてある本当かどうか分からない様な噂の中で判断しなくてはならない。だからこそ、自分で足を動かして、人に会って、リアルな情報を掴んで欲しいと思います。

縁と運と相性、そして自分の意志で決断すること。そうして納得できる就職活動、納得できる社会人生活を送って欲しいなと思います。 私からは以上となります。ありがとうございました。

—お二方、ありがとうございました。JT、リクルートホールディングスという、日本を代表する大企業。その2社の「経営者」の人となりが伝わるイベントであったと思います。

 お二方のお話を読んで、「こんな人たちと一緒に働きたい」「若くして成長したい」「大企業での働き方に興味を持った」、そんなことを感じた人は、是非2社へのエントリーをしてみてはいかがでしょうか。

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