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若手時代に気をつけるべき2つのポイント。リクルートとJTの経営者が語るキャリア設計とは

2017年2月18日、「大企業経営者から君たちへ、渡したいバトンがある」と銘打ったイベントが開催された。当イベントでは、30代で大企業経営者の座に上り詰めた、JT執行役員の筒井岳彦氏、リクルートホールディングス執行役員の山口文洋氏より、就活生に向けてメッセージを頂いた。二人のキャリア、若手時代の下積み、そして「意志」の作り方など、社会人への第一歩を踏み出そうとしている就職活動生の皆様には、是非読んで頂きたいトピックが満載だ。 是非多くの就活生の皆様に、読み進めて頂きたい。

2017.03.27.Mon

2017年2月18日、「大企業経営者から君たちへ、渡したいバトンがある」と銘打ったイベントが開催された。

 

当イベントでは、30代で大企業経営者の座に上り詰めた、JT執行役員の筒井岳彦氏、リクルートホールディングス執行役員の山口文洋氏より、就活生に向けてメッセージを頂いた。

 

二人のキャリア、若手時代の下積み、そして「意志」の作り方など、社会人への第一歩を踏み出そうとしている就職活動生の皆様には、是非読んで頂きたいトピックが満載だ。 是非多くの就活生の皆様に、読み進めて頂きたい。

30代で大企業経営者に。二人の「下積み」とは

—お二方、本日はよろしくお願いします。

 お二人とも30代にして、日本を代表する企業の役員、経営者というポジションで活躍されています。お集まり頂いた就活生の皆さんも、どんなキャリアを送ってきたらそんな風になれるんだと、興味津々なのではないかと思います。

 まずは、お二人が若手時代にどういう経験をしてきたのか、どういうキャリアを積んできたのか、お話を頂きたいと思います。では筒井さんより、お願い致します。

筒井:私も皆さんのように就職活動をした時代が有りまして。私は大学では機械工学を学んでいました。しかし就職するときは、何か違うことをやってみようと思い、1997年、JTに入社しました。

JTは当時「新規事業をやる人募集」という看板がかかっていて、「これは面白そうだな」と思って入社をしました。人事の方もその当時「そうだね。筒井くんは新規事業がいいよ」なんて言うわけです。

ところが、理系出身というところもあってか、実際に配属されたのは小田原のたばこ工場でした。 これで結構がっかりしたと言いますか、「あれ、入社前に言っていたことと違うじゃないか」という思いで社会人生活をスタートしたというのが最初のターニングポイントでした。

当時は「なんか間違えちゃったな、就職」なんて思っていたんです。

しかし、振り返って見ると、この工場にいた4年間というのは、実は自分にとって本当に大事な時期だったと思っています。

最初は落ち込みました。3ヶ月くらいは工場の人ともあまり喋らず、一人、寮に帰って。小田原には、早川漁港という港がありまして、その漁港で体育座りして、「俺はここで何をしているんだ」と考えた時期がありました。

もともと新規事業がやりたいという輝かしい自分の未来像があったんですけど、最初の配属では叶いませんでした。自分が一回、方向を見失ったわけですね。

でも、がっかりしていてもしょうがないので、前に進もうと決めました。方向を見失いながらも、前に進むには何をすれば良いのかということを考えて。一度自分の足元をじっと見つめようと思いました。

工場という場所で自分がどんな貢献ができるんだろうと考えたのですが、全く想像もできなかったので、とにかく目の前のできることをやって貢献していこうと。

地道な仕事だったかもしれませんが、誰にも負けない雑巾がけをしようと。誰にも負けないピッカピカの机を何個も何個も作ろうと。そういう努力をした「下積み」の時期だったのかなと思います。 私のキャリアの中では、この4年間がなければ、今の自分はなかったんじゃないかなと非常によく思います。

—ありがとうございます。華々しいキャリアを歩まれているというイメージがありましたが、4年間の「下積み」の時期があったのですね。筒井さんはその4年間を経て、M&Aのプロジェクトに抜擢されていますよね。

 下積みの時期に、どういうことを意識していたのか、具体的にどんな努力をしていたのか、その結果、それがどう役に立ったのか。そういった点を、具体例を交えながらお伺いしても宜しいでしょうか。

筒井:意識で言うと、今思い浮かんだのが、豊臣秀吉が織田信長の草履を懐で温める話です。

これは「下積み」で重要なことを非常によく表していて、「その時、自分の役割として何ができるのか」が重要だと考えています。どうすれば相手が「お前なかなか気がつくな」と感じてくれるのか。

山口さんとも以前お話していたのですが、期待を上回る所まで頑張るということが大事。逆に言うと、それさえ出来ていればどんなことに取り組んでも役に立ちます。

例えば、私の具体例で言うと、Excel。

入社初期によくExcelを扱っていたのですが、最初は単純な表を作れるとか、入力が出来る、程度でした。また、同じ動作を3回も4回もやるんですよね。じゃあもっと工夫して、簡単にできるんじゃないかなと。

それで数式やらマクロやらを覚え、こんな便利なものがあるんだなあと。そこから、もっと便利にするにはどうしようと考えて、ビジュアルベーシックという、簡単なプログラミングのようなものを学びました。

すると、周りにはなかなかそこまで出来る人がいなかったこともあり、ひょんなことから「筒井がなんか凄いらしいぞ」と。

そうして、様々な方から、「とある分析をしたいんだけど、どうすれば良いのか」とか「こういう問題があるんだけど、なんとかできないか」とか、全然自分の業務に関係ないところで、手伝って欲しいと言われるんです。

そして、手伝うと「ありがとう」という言葉が返ってきて、私の方も代わりに「すいません、わからないことがあるんですけど、助けてくれませんか」、「こういうことをやりたいと思っているんです、どうやったら実現できるんでしょうか」なんてことを反対に相談したり。

はっきり言えば、何でも屋でした。細かいことでもいいから期待値を超える所までやる。やりこんだ暁には、どこかでそれが役に立つ。

誰かの役に立つと、信頼という貯金ができる。その信頼の貯金があると、それを払い出して、自分がやりたいことに手を貸してもらえる。こういうことの、ひたすら繰り返しなんです。

例えば、最近のコピー機なんかも、いっぱい機能がついていて。でも、大体の機能は使いこなしてないんです。それを全部使い切ると業務の効率がすごく上がるかもしれません。

皆なぜそこまで努力しないのかというと、それがくだらないことだと思っているからではないでしょうか。でも、自分はそれでも、「やるからには誰よりもコピー取りを上手くなろう、やるからには誰よりもExcelを使いこなそう」なんて思って、それが上手になってくると、人に頼られて、人に頼って。頼り頼られるから信頼関係が出来て。

そういうことじゃないかと私は思います。 私は結局、4年間そういうことを続けました。それが、元々やりたかったことかというと、そういうわけではありません。でも、とにかくやってみることに一生懸命だった時期だったと思います。

足元を見て、どういう貢献が出来るかを考えて、期待を上回る所まで頑張る。そういった、非常にシンプルなことを繰り返したことが大事だったなと思っています。 今は自分が会社の経営陣の1人になっていて、下積み時代から振り返ってみると、随分遠い所まで来たんだなあ、と思いますけれど。

今この場所から考えてみると、結局そういったことの繰り返しが大事だったなと、最初の4年間で学んだことが非常に重要だったなと、そう思うのです。

うちの会社でも、若手と話をすると、自分のキャリアについて焦っている方がいます。 「2年間営業やったけれども、先が見えないんです、今後のキャリアについて悩んでいるんです。地道に努力しているんですが、結果が見えないんです。」という具合に。

「まだまだたった2年だよ、焦ることないんだよ」と思うのですが、やはり若い頃は、キラキラしたものがカッコよく見えるんですよね。私も当時、大いに焦りがありました。他のものが、キラキラして、カッコよく見えていました。

結局、工場には4年間在籍した訳なのですが、4年というのは同期の中でも長い方でした。「みんな本社に転勤していくんだな」「いつまで工場にいるのかな」「人事の人は、僕のことを忘れちゃったのかな」など、いろいろな不安がありました。

それでも、「下積み」をきちんとやり続けた結果、今の私があります。若い人には、焦ることなく正しい「下積み」をきちんとして欲しい。最初からキラキラした仕事が出来なくても、それは将来に必ず繋がるんだと。

特に、大企業に就職しようと思っている方は、そういう悩みに突き当たることがあるかもしれません。ベンチャー企業と比べると「新規事業」のような、キラキラした仕事に接するのは遅いかもしれません。

でも、それはきちんと「下積み」をする為なんだと、将来大きなことを成し遂げる為に、大きな土台を作る為なんだと、それを理解して、焦らずに努力をし続けて欲しいと思います。

—筒井さん、ありがとうございました。では山口さんにも、若手時代の経験やキャリアの歩み方について、お話を頂きたいと思います。

山口: 自己紹介も兼ねて簡単に説明をさせて頂くと、私のファーストキャリアは、大学卒業後2年間のモラトリアム期間を経て、名も無きシステム会社から始まりました。

会計システム、人事システムを日本で作って、東南アジアに出ていって、現地の企業に売ろうという会社でした。

すごく夢を感じたんですよね。当時の私には会計のバックグラウンドがあったのと、世界への憧れがあって、これはもうその会社に行くしか無いと感じました。

しかし入社したのは良いものの、本当に何もスキルがないので、まさに丁稚奉公でした。WordもExcelも全くできなかったので、「3ヶ月何もできなかったらお前はクビだ」と言われて。

その瞬間に、自分には本当に実力も何も無いし、慶應大学を出ているという肩書きだって、何も意味がないんだと気付きました。だから、本当に地道にやるしか無いのだなと気付いたのです。

システム会社では、システムをリリースする時にいろいろテストをするんです。リリース直前ではバグが無いかどうか、毎日深夜遅くまで寝る間もないくらいにテストをしていました。

その頃の仕事は正直に言って、辛かったです。それでも私が思ったのは、社員として雇って貰っているのだから、期待されている以上の結果を出さないと本当にクビになってしまうんだと。 私にあたえられている仕事は、新規事業やりたい、経営企画やりたい、なんて選べるような仕事じゃなくて。

ひたすらテストをするだけなんて馬鹿にされているかもしれないけど、最高のテスターになろうと。ここは筒井さんとも本当に話が合う所なのですが、まずは足元の所をきちんとやろうよと。

そんな風に考えていたのが、私のファーストキャリアでの下積み時代です。 そんな中で、仕事に対する吸収も速かったのが幸いしました。誰よりもバグを見つけることができましたし、会計のバックグラウンドもあったので、システムが会計のルールに合ってない仕様じゃないか、という提案をしたり。

そういうことを重ねていく中で、「こいつ頑張っているから、こいつの提案は面白いから、じゃあ次はこの仕事をやらせてみよう。」そんな形でステップアップを積み重ねることができました。

その3年間でテスターという仕事から、段々上流の工程にステップアップして、新規事業を考えるような仕事、筒井さんの言葉を借りれば「キラキラした」仕事にもつくことができました。

筒井さんがおっしゃられたように、まずは足元を見て、何が出来るかを考える。そして、期待を上回るまで努力する。そういった「良い下積み」のサイクルに上手く乗ることが出来ていたんですね。

早い段階で「自分は何の実力も無いんだ」「地道に結果を出すしか無いんだ」と気付くことが出来たのが幸いしたのだと思います。

—ありがとうございます。「目の前のことに全力で取り組み、期待を超える」というプロセスは、筒井さんと共通される部分ですね。 その後山口さんはリクルートに転職されると思うのですが、そこではどういった学びを得たのでしょうか。

山口:リクルート時代での学びは、大企業で下積みをしたからこそ学べること、という面についてお話をしたいと思います。

少し話が飛ぶんですが、私は、20代からスタートアップ企業で結果を残されている方をすごく尊敬しているんです。本当に凄いなと思って。

何が言いたいかと言うと、企業やサービスを大きくしていく為には、本当に色々なことが想像できなくてはならないんですね。

ゼロからの一歩目、まさに立ち上げている瞬間というのは事業、組織を生々しく感じられるので、想像力が低くても、自分の手の中で大きくしていくことができるかもしれません。しかし、そのあと二歩目、三歩目、そして十歩目までを考えると、凄く難しい。

規模が500億、1000億まで成長して、アーリーアダプターだけではなく、レイトマジョリティーと言われる様なユーザーにまで使われるサービスになる。そこまで成長するのに、どういう道筋を辿ればそうなるのか、その途方もない道のりを暗中模索の中でやってきたのが、若いうちからスタートアップで結果を残されている方なんです。

一方で、私はまさに今スタディサプリという事業において、そういった道筋は何となく感じながら進むことができています。

なぜなら、私はリクルートにおいて、カーセンサーやゼクシィというサービスが社会の課題を解決し、事業としても成長してきた、その歴史や生々しい経緯というものを肌身で感じてきたからです。

だから、スタディサプリという新しい事業を考える時に、他のサービスからメタ認知的な思考が出来たわけです。

教育業界にイノベーションを起こす為には、おそらくこういうステップを踏んでいかなければならないんだな、とか。単純にサービスを良くするだけではダメで、世の中の共感を巻き込まなくてはならないんだな、じゃあどうしよう、とか。

サービスだけではなく、組織についてもそういった思考が必要です。立ち上がりの時期は0→1の人が居て、そんな人が活躍できる、こういう環境を作ろうと考える。

でも、三歩目から五歩目にかけては、組織のメンタリティー、姿勢、スタンダードといったものは、最初とは違ったものになるはずだ。トップの人格や思考も変わらなくてはならない。こんなことを考える必要があるのです。

また、社内にエンジニアが居て、マーケターが居て、ストラテジストが居て、じゃあその人達を上手くマネージして、全体として高い成果を挙げる為にはどうしたらよいか、そんなことも考える必要があります。

私はカーセンサーを、ゼクシィを、間近で見てきているので、このステップではこうしよう、あのステップではこうしよう、そんなイメージをすることができていたんです。

こういうことがきちんと想像できていれば、社会を変えるような事業、社会インフラのような事業が作れると思っています。逆に、そこがあまり分かってなければ、ちょっと事業が大きくなった段階で「この先どうするんだっけ?」となってしまったり。

リクルートやJTといった企業で「下積みをする」「基礎力を鍛える」ということの良い所は、こういう思考を、間近で見て、肌で感じて、じゃあ将来自分が何かを成し遂げる時にその道筋は想像できるよね、という所かなと思っております。

将来的に、大きな事業を作りたい、社会に良い影響を与える様な仕事がしたい、という人は、是非我々のような企業で下積みをする、というのをオススメしたいなと思っています。

—ありがとうございました。大企業、歴史の積み重なっている企業だからこそ学べることがあるという、非常に興味深いお話を頂きました。

二人を支える「意志の力」。「意志」はどこから産まれるのか。

—次のテーマに参りたいと思います。お二方の下積み時代を伺って参りましたが、その下積みを越えて経営者になるまで、その道筋はどのようなものだったのか。どのような転機、きっかけがあったのか。お伺いしていければと思います。

 

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